Carl Zeiss Planar 50mm F2 コンタレックスのプラナーで濃厚なツァイスを知る(File04)

カールツァイス、それは高描写の代名詞とも言えるレンズブランドだ。ヤシカ/コンタックス、コンタックスG、ローライQBMなど、様々なマウントでツァイスレンズは提供されてきた。しかし、ツァイスの名が付けばすべて同じ描写というわけではない。

これまで数々のツァイスレンズを使ってきたが、中でも印象深いのは、アリフレックスマウントのプラナー T* 32mm F2だ。35mmフィルムムービーカメラ用のレンズで、ドイツ製のプラナーである。プロムービー向けのレンズだけあって、シャープさは群を抜いている。しかし、シャープさ以上に圧倒されたのは、その濃厚な発色だ。ヤシコンのツァイスなどと比べ、明らかに色が濃い。かといって色飽和を起こすことなく、美しい階調をたたえている。この描写を目の当たりにしたとき、ドイツ製ツァイスレンズの底力を痛感した。

アリフレックスのプラナーは、プロ機材だけあってそうそう手を出せる価格ではない。ドイツ製プラナーの濃厚さをリーズナブルに体験したいなら、コンタレックスマウントのプラナー50mm F2を推したい。コンタレックスはツァイスイコンが1958年のフォトキナにて、満を持して発表した最高級一眼レフだ。広角から望遠までツァイスレンズがラインアップされ、プラナー50mm F2は最初期から登場した標準レンズである。鏡胴には「Lens made in Germany」と刻印があり、ドイツ製であることを自ら主張している。

その描写はアリフレックスのプラナーに負けず劣らず色ノリが良く、開放F2と設計に無理がないこともあり、ボケのなだらかさもいい雰囲気だ。プラナーは総じてボケが暴れがちなので、この点も本レンズのアドバンテージと言えるだろう。コンタレックスという気迫のこもったカメラだからこそ、その相棒であるレンズも一級品の風格を備えている。

 

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α7 + Planar 50mm F2 絞り優先AE F2.8 1/4000秒 -0.7EV ISO100 AWB RAW
発色に存在感があるが、けっして華美になりすぎることはない。階調の良さが光る。

 

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α7 + Planar 50mm F2 絞り優先AE F8 1/100秒 +0.7EV ISO100 AWB RAW
開放からシャープなレンズだが、絞り込むと画像の隅々まで解像し、シャープさが際立つ。

 

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α7 + Planar 50mm F2 絞り優先AE F4 1/125秒 ISO100 AWB RAW
黄色い扉にわずかに光が反射し、その様子を階調豊かに描いている。

 

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α7 + Planar 50mm F2 絞り優先AE F2 1/2000秒 +0.7EV ISO100 AWB RAW
開放ではいくぶん周辺光量落ちが見受けられるが、合焦部は鋭く、破綻のない開放描写だ。

 

製品紹介

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KIPON CONTAREX-NEX
フルサイズのα7シリーズに対応したEマウント用のコンタレックスマウントアダプターだ。絞りリングは装着したレンズに合わせて開放値が変化する。写真の製品は絞りリングがシルバーだが、現行品はブラックとなる。また、ライカM用のコンタレックスマウントアダプターもオススメだ。

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