W.Rokkor-QH 21mmF4 ミラーアップ用レンズの緊張感(File25)

ミラーレス機はマウントアダプターさえあればどんなレンズでも装着できるが、それでもなお、鬼門と敬遠されがちなレンズがある。それはミラーアップ用レンズだ。後玉が後方に大きく飛び出し、オリジナルの一眼レフボディに付ける際もミラーアップが必須となる。スーパーアンギュロン-R 21ミリF3.4、ニッコール-O 2.1センチF4、W.ロッコール-QH 21ミリF4などが代表的なミラーアップ用レンズだ。マウントアダプターを付けても後玉が飛び出し、ミラーレス機でも内部干渉のリスクを伴う。今回、α7RIIとW.ロッコール-QH 21ミリF4のカップリングを試す機会があった。その試写結果をお伝えしよう。

W.ロッコール-QH 21ミリF4はレンズ後端が円筒形で、レンズガードが後玉外周を囲んでいる。円筒の直径は実測(ノギスで手動測定)で約23.5ミリ。α7RIIのイメージセンサーの縦方向は24ミリなので、イメージセンサー外周部分との干渉はないだろう。

シャッター幕との干渉にも注意が必要だ。α7はマウント面からシャッター幕までの長さが約10ミリと言われていた。レンズにマウントアダプターを付けた状態で、マウント底面から後玉先端(もしくは後玉のレンズガード先端)までが10ミリを超えていると、シャッター幕との干渉のリスクがある。W.ロッコール-QH 21ミリF4にKIPONのMD-NEXを装着すると、マウント底面からレンズガード先端までの長さは実測で約8.8ミリだった。α7RIIもマウント面からシャッター幕までの長さが10ミリ程度だと仮定すると、シャッター幕の干渉も回避できそうだ。

実際に撮影してみると、内部干渉せずにシャッターが切れた。W.ロッコール-QH 21ミリF4は外観こそ強烈なスタイルのレンズだが、この個体に関しては問題なく撮影できた。シャッター操作に不安をおぼえる場合は、サイレント撮影(電子シャッター)を有効にすると良いだろう。サイレント撮影は物理シャッターの動作がないため、バックフォーカス(撮像面からレンズ後端までの距離)が短いレンズでリスク軽減できる。無論、ミラーアップ用レンズがリスキーなことに変わりはない。あくまでも自己責任で慎重に作業してほしい。

 

対称型を採用した一眼レフ用広角レンズは、後玉が後方に飛び出し、オリジナルボディではミラーアップして使用する。

 

本レンズにKIPONのMD-NEXを装着。アダプター底面から後玉が顔を出しているが、α7RIIで無事撮影できた。

 

α7RII + W.Rokkor-QH 21mmF4 絞り優先AE F8 1/500秒 +0.7EV ISO100 AWB RAW
α7RIIではマゼンタかぶりせずに撮影できた。周辺像は流れ気味だ。四隅が若干ケラレる。

 

α7RII + W.Rokkor-QH 21mmF4 絞り優先AE F4 1/800秒 +0.7EV ISO100 AWB RAW
開放で鉄塔にピントを合わせる。キレの良いシャープネスが印象的だ。前ボケの雰囲気もわるくない。

 

α7RII + W.Rokkor-QH 21mmF4 絞り優先AE F8 1/200秒 -0.7EV ISO100 AWB RAW
太陽を入れ込んで逆光撮影してみた。フレアやゴーストは良く抑えられている。

 

α7RII + W.Rokkor-QH 21mmF4 絞り優先AE F8 1/160秒 +0.7EV ISO100 AWB RAW
青空と黄色い橋が自然な色合いで切り取られている。このカットでも周辺の色かぶりは感じられない。

 

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