Nikon Nikkor-S・C Auto 55mm F1.2 APS-Cでも標準レンズを標準画角で(File 03)

数多ある標準レンズ、その魅力をひと言で表すと、目の前の光景をそのまま切り取れるという点に尽きるだろう。標準レンズの画角は、ヒトの目とほぼ同じだと言われている。被写体を見つけてカメラを構えれば、見ている光景がそのままの姿で撮れるわけだ。

ただそうは言っても、APS-Cイメージセンサーを搭載したミラーレス機を使っていると、どうしても画角が望遠寄りになってしまう。標準レンズが悉く中望遠になってしまうのは、やはり釈然としないだろう。こういうときこそフォーカルレデューサーアダプターBAVEYESシリーズの出番である。

今回のセットアップは、ボディは富士フイルムX-T1、レンズはNikkor-S・C Auto 55mm F1.2だ。通常のマウントアダプターで装着すると、55ミリ×焦点距離倍率1.5倍で35ミリ判換算82.5ミリ相当の中望遠画角になる。BAVEYESシリーズはマウントアダプターにフォーカルレデューサー(縮小光学系)と呼ばれる補正レンズを搭載し、受光像を0.7倍にする。55ミリ×1.5倍×0.7倍で35ミリ判換算57.75ミリ相当となり、ほぼレンズ本来の画角で撮影できるわけだ。さながら、APS-C機でフルサイズ撮影できる魔法のマウントアダプターである。

BAVEYESはフォーカルレデューサーアダプターとしてリーズナブルな価格帯を実現しつつ、高画質設計になっているところが強みである。周辺部の収差や像の流れは最小限に抑えられ、過剰にコントラストや発色が強くなることもない。オールドレンズのテイストをしっかりと伝えてくれる。今回取り上げたNikkor-S・C Auto 55mm F1.2の描写を見ても、ニッコールらしい繊細さと堅実さを見事に再現している。APS-C機でオールドレンズを楽しむなら、一度は試す価値のあるマウントアダプターだ。

 

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X-T1 + Nikkor-S・C Auto 55mm F1.2 絞り優先AE F8 1/750秒 +0.67EV ISO200 AWB RAW
BAVEYESのおかげで、APS-C機でありながら目の前の光景をほぼそのままの画角で切り取れる。

 

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X-T1 + Nikkor-S・C Auto 55mm F1.2 絞り優先AE F2.8 1/4000秒 ISO200 AWB RAW
開放近辺ならではの繊細な描写に加え、なだらかなボケが美しい。

 

tt03s_04X-T1 + Nikkor-S・C Auto 55mm F1.2 絞り優先AE F8 1/2200秒 -0.67EV ISO200 AWB RAW
中心部のシャープネスは無論、周辺部までしっかりと解像している。

 

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X-T1 + Nikkor-S・C Auto 55mm F1.2 絞り優先AE F8 1/1900秒 +0.67EV ISO200 AWB RAW
逆光下のかすかなフレアがオールドレンズらしさを象徴している。

 

製品紹介

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BAVEYES NIKON-FX 0.7x

マウントアダプター内に3群4枚の縮小光学系を搭載し、レンズの焦点距離を0.7倍にする。APS-C機で35ミリ判フルサイズ相当の画角で撮れるマウントアダプターだ。ボディはソニーEマウントと富士フイルムXマウントに対応。レンズ側マウントはここで取り上げたニコンFをはじめ、ライカR、M42、アルパなどに対応している。

 

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