Leica Summilux-M 35mm F1.4 1st 「ジキルとハイド」の さらなる可能性を求めて(File02)

第1世代のズミルックスM 35ミリF1.4は、オールドレンズ界のジキルとハイドだ。開放はソフトフォーカスレンズのように滲み、絞り込むと描写が一変、繊細な線でシャープに被写体を切り取る。発売当時の1960年代は「開放が使いモノにならない」と酷評されたようだが、時代とともに再評価が進み、現在はそのギャップのある描写が多くのオールドレンズファンに好まれている。

むろん、大口径オールドレンズの多くは、開放近辺で滲みが発生し、絞るにつれてシャープな描写になる。ではなぜこのレンズに人気が集まるのか。それは開放の巧みな描写が理由だろう。ソフトフォーカス的に滲むレンズは、その大半がやわらかい描写だ。しかしながら第1世代のズミルックスM 35ミリF1.4は、開放でも合焦部は繊細かつ鋭さが宿り、やわらかくもシャープな描き方なのだ。開放と絞ったときのギャップ、そして開放の中に宿るやわらかさと鋭さというギャップ。言わば二重のギャップを備えた大口径レンズである。こうした独自性があるからこそ、惚れ込むオールドレンズファンが多いのだろう。

本レンズはM型ライカにそのまま装着できるが、今回はあえてα7をベースボディに選んだ。その理由は、最短撮影距離を稼ぎたいからだ。ズミルックスM 35ミリF1.4第1世代の最短撮影距離は75センチ。レンジファインダー機用レンズとしては順当だが、一眼レフに慣れた身には寄りたくても寄り切れないもどかしさがある。そこでKIPON製のヘリコイド付きライカMマウントアダプターを使い、最短撮影距離を稼ごうというわけだ。見た目は普通のライカMアダプターだが、高精度なヘリコイドが組み込まれている。このヘリコイドを最大まで繰り出すと、本来の最短撮影距離の半分ぐらいまで寄ることが可能だ。開放で被写体に最接近した様子は、霧をたずさえた湖畔を思わせる。KIPONのヘリコイドライカMマウントアダプターは、ズミルックスM 35ミリF1.4第1世代の新たな魅力を引き出してくれるだろう。

 

 

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α7S + Summilux-M 35mm F1.4 1st 絞り優先AE F2 1/100秒 +1.3EV ISO200 AWB RAW
KIPONのヘリコイドアダプターで、本来の最短撮影距離からさらに寄ってみる。独特のボケ方が興味深い。

 

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α7S + Summilux-M 35mm F1.4 1st 絞り優先AE F1.4 1/80秒 -1.3EV ISO200 AWB RAW
硬質な建築物をあえて開放でやわらかく捉える。ディテールがほのかに滲み、ノスタルジックな雰囲気だ。

 

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α7S + Summilux-M 35mm F1.4 1st 絞り優先AE F5.6 1/60秒 -0.7EV ISO640 AWB RAW
F5.6で水平垂直を意識して撮影した。歪みがなく、隅々まで解像している。実にポテンシャルの高いレンズだ。

 

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α7S + Summilux-M 35mm F1.4 1st 絞り優先AE F2 1/800秒 ISO200 AWB RAW
開放近辺はボケと滲みが合わさり、紗をかけたようなこのレンズならではのやわらかさを見せる。

 

製品紹介

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KIPON LEICA M-NEX Helicoid

ヘリコイドを内蔵したライカMマウントアダプター。レンズのフォーカスリングを最短にセットし、その上でマウントアダプター側のヘリコイドを繰り出すと、ライカMレンズでマクロ撮影が可能となる。最短撮影距離は装着したレンズによって異なるが、レンズ本来の最短撮影距離の半分程度まで寄ることができる。

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